【離職率0%】弊社エンジニアが辞めない理由とは【スタートアップ】

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(これはM&Aクラウド Advent Calendar 2021の12/3の記事です)

こんにちは。M&Aクラウドのエンジニアの鈴木です。ネット上では@yamotukiという名前で活動しています。

「エンジニアといえば転職してキャリアアップ」「キャリアアップといえばエンジニア」(要出典)などと言われる昨今ではありますが、弊社は7期目にして奇跡的にもまだエンジニアが離職していません。

その奇跡はどこから来るのか?
同僚のエンジニア達にヒアリングをして、起源を突き止めたいと思います。

【仮説】エンジニアはいつ離職を考えるのだろう?

エンジニアが離職を考える時期として、以下のような年次と理由があるかなと思っています。これは完全に主観です。以下のようなものに当てはまらなければ、特段辞める理由は無いのではと仮説を立てました。

  • 1年
    • そもそも職場にマッチしてなかった。「思っていたんと違う」
    • 労働条件が言われたのと違う。「ブラックじゃん?」
  • 2年
    • ジョブホッパー的な気質の場合には2年もやると転職を考える頃。「経験を積んだので昇給すると思っていたのにしなかった。」
    • 苦手なタイプの同僚が増えた。「あいつ嫌い」
  • 3年
    • 仕事に飽きてきた。「チャレンジさせてもらえない」
    • 技術スタックの固定化。「いつもおんなじ技術使ってるわ」(2年目でも言えるかも。まあ理由は二つずつくらいが収まりがいいのでこちらへ)
  • 4年
    • 求められる役割が増えた。「マネージメントなんてやりたくないよ」
    • 色々できるが故に仕事がたくさん降って来すぎる。「マジで忙しい」

さて、実際に聞いてみたらどんな感じでしょう?

ヒアリングしてみた

同僚たちをそれぞれ slack の huddle で突然呼び出して、ざっくばらんに理由を聞いてみました。
弊社には1年目から4年目のエンジニア社員が居るので、年次が浅い方から聞いていきましょう。(※CTOは現在は入社5年目かと思いますが、エンジニア職から離れておりPdMとして活躍しているので今回スコープから外しました。またサービスが2018年5月に開始してからまだ3年半ほどしか経っていないので、実質4年目が最長です。)

1年目

國村さん(入社2ヶ月と10日)

――「入ったばかりではありますが、辞めないで続けている理由ってどんなのがありますか? まずは雑な質問から。」

國村「入ってみて、みんないい意味で真面目だな、と思いました。タスクを終わらせることに真面目に取り組んでいて、課題を解決しようという姿勢が整っている。それがいいなと思ってます。特にみんなチーム一体になってタスクを終わらせようという姿勢が良い。」
國村「あとは事業として可能性がある未開拓領域を掘り進めて開拓しているところですかね。」

――「なるほど。入社直後に辞めたくなる理由があるとしたらミスマッチだと思いますが、それはどうですか?」

國村「特になかったです。」

――「それはなんでだと思います?」

國村「面接で色々聞けたから。逆に、荒井さん(※CTO)に結構きっちり聞かれたと感じました。だからミスマッチしないのかなと。」
國村「あとは内定が決まった後のアトラクト会でチームの空気感を掴みました。それが入社の決め手でした。そこで感じたチームの雰囲気と、入ってみたあとで変わらなかったです。」

仮説にあった「思っていたんと違う」はなかったようです。

塚原さん(入社8ヶ月)

――「とりあえず大きな質問からするのですが、続けている理由ってどんなのがありますか?」

塚原「メンバーに受け入れてもらって、ここでも仕事できるという手応えを感じています。」
塚原「転職の目的だったスキルアップとしては、最初に比べて結構できるようになったので目的は達成しているかなと。高いレベルを求められるし、社内のエンジニアのレベルが高いので刺激的です。」

――「入社前と後でミスマッチとかありました?」

塚原「スキル面で言うと、入社前に荒井さんからは『入ってから頑張ってキャッチアップしてほしい。今の実力のままだと大変なので頑張れ』と言われていました。そう言う意味ではギャップはないです。」
塚原「あと、人間関係の面で言うと、雰囲気良く受け入れてもらったと思ってます。この前エンジニア飲み会(※塚原さん主催による塚原さん&國村さん歓迎会)も開けたので、楽しくやってます。ただ、私は気にしいなので、自分はミスマッチを感じていないが、周りがどう思っているかは心配ではありますね。」

――「なるほど。私はミスマッチなかったと思いますよ。人間関係面で言うと完全に馴染んでいると思います。スキル面で言うと、今は開発総合窓口対応やアラート一時受けなどやってもらってますよね。最初は結構頻度高く私も見に行かないといけない感覚だったけど、今は見る頻度減ってきてます。それはちゃんとやってもらっているという安心感を感じているからだと思います。」

塚原「逆質問なのですが、タスク振っている側(鈴木側)として何か考えていることってあったりします?」

――「明示的にそこまで考えているわけではないけど、特定分野の仕事でめっちゃ詰まっていて、終わった後にメンタル落ちているかなーと思ったりすると、同種の仕事を一時的に振らないでコンフォートゾーンの活躍してもらえる仕事を振っているかもしれないです。」

塚原「なるほど。そういうのも離職率減っている理由かもしれないですね。実はインフラ系タスクとか、フロントエンドのタスクとか難しくて辛い時期があったので。その時は、自分が活躍できず、進んでいる感がなかったです。」

塚原さんについても、仮説にあった「思っていたんと違う」はなかったようです。
逆に求められる水準が高すぎても辛くなってしまうので、塩梅は大事だなと感じました。  

2年目

濱田さん(入社1年と9ヶ月)

――「辞めないで続けている理由って何がありますかね? 最初に思いつくもので。」

濱田「飽きてないから。ですかね。直近だとスクラムマスターやるという話とか。単にコード書くだけで既存の保守だけだと成長が止まってしまう。今の環境だと課題が新たに見つかって改善していこうというサイクルがあるので飽きないですね。転職して改めて成長機会を探す必要がないです。」

――「課題がでてくる、というのはやはりスタートアップだから、とか会社が成長しているからというのはありますかね?」

濱田「そうですね。前職の大手プロバイダだと、事業内容の関心ごとがほとんど変わらないというのがありました。大きく成長していないので目指すべき目標がそんなに変わらないというか。」
濱田「新しい役割で言うと、他にはサブチームリーダーとかファシリテーターとか役割を新たに任せてもらってますね。成長環境として、役割を通してや生産性向上委員会(※実質的なリーダー会)の中で自分にフィードバックがあり『自分の中でどういう課題があるか』というのを意識する機会になってます。」

仮説にあった3年目の「チャレンジさせてもらえない」がないというのが良さそうです。濱田さんはまだ2年目ですが、3年目を超える古参の風格を漂わせています。

3年目

久保田さん(入社2年0ヶ月)

――「ざっくりとした質問なのですが、辞めないで続けている理由って何がありますか?」

久保田「僕は多分特殊ですね。いつ辞めるか入る時に考えてます。前職もそうでした。」

――「時期で決めているってことですか?」

久保田「IPOしてから転職は考えたいんです。IPO無理だとなったら考えるかもしれないけど。IPOに至るまでのチームの変わっていく姿とか技術スタックが変わっていく姿とか、それに技術的適材適所を見極める経験をしたい。そうすると次に行っても再現性のあるスキルが手に入るかなと。」

――「IPOしたらすぐなのか、ベスティング(※ストックオプションから生株変換までの期間)の間は残るのか。」

久保田「その後の世界が重要かどうか、は自分は知らない。その時のことがわかっていないのでまだ分からないです。経営は多角化していくとかしていけば、そのフェーズで僕が必要なのかわからないですね。」
久保田「SOがどれくらいとかあんまり気にしていないですね。あったらあったで嬉しい。それは居る居ないに関わっていないです。一応期待していない。上場後に(株転換で)毎年1000万入ってくるとかだったらちょっと居てみるかーとはなるかも。」

――「経験したいと言うのが強そう?」

久保田「そうですね。僕自身の成長としては、自分は努力していない気がしてます。人の成長は環境次第だと思っていて、僕自身が努力家ではない。やらなきゃいけない環境とか、やらなければいけない環境で成長を促そうというところです。前職にずっといたらダメ人間になっていた。」  

――「楽すぎて?」

久保田「ずっと変わらない繰り返しに入ったというのと、周りに学ぶ人が減った。僕よりできる人というのが周りを見渡すとあんまりいなくなってしまった。」
久保田「今は会社自体が足掻いている。それに合わせて自分も足掻いていく。それで成長していく。今スクラムを真面目に取り入れようとしているのもいい流れ。」

――「スクラムのいいところが自然に身についていく?」

久保田「スクラムに悪いところがあるかはまだわからないですが。上手くいくように濱田さん主体でやっているが、我々も働きかけていく。それが学びになると思いますね。」  

――「周りが求めてくれることをやれば良い?」

久保田「不得意分野はあるし、やりたくないところはある。そういうものを無理矢理やることになれば話が違うよってなる。例えば荒井さんのCTOの立ち振る舞いとか、それは自分には難しい。」

「いつもおんなじ技術使ってるわ」はなさそうでした。久保田さんは、大きな流れに身を任せて自分も成長しよう、というタイプですが、そういう人はスタートアップにマッチしてそうです。

津崎さん(入社2年6ヶ月)

――「辞めないで続けている理由ってなんでしょう? あえてざっくりした質問なのですが。」

津崎「ひとつじゃなくていいですか?」

――「もちろん」

津崎「まだ上場に向かってやっているので、その上場した時の景色をみたいです。」
津崎「あとは、学ぶこともまだあります。データ分析とか大臣制度でチャレンジできる余地が残されているので。」
津崎「停滞感が長く続くと辞めたくなると思います。今は事業も爆発的な成長はないけど、堅実に成長はしている。エンジニアチームの仲間が1人辞めます、2人辞めますというのが増えたら『ぐぬぬ』ってなると思います。むしろ人が減ってやること増えるので辞めてる場合じゃないんでしょうけど。」

――「停滞感を感じている時期はありましたよね?」  

津崎「入社してからはあんまり感じてないです。けど、SKE2(※募集と検索周りのリニューアルプロジェクト。4ヶ月。)の長いトンネルの中にいる時には思ってました。憂鬱に思ってましたね。」

――「今の定常保守だと思っていない?」

津崎「普通ですね。来期が始まるし、スクラムも始まるしという期待感があります。」

――「変わらないというのが辛い?」

津崎「そうかもしれないですね。個人的にはすごく飽き性なので。入社したばかりだと、『新しい新しい』ってなるけど、時間が経つと慣れてしまって刺激が減ったように感じます」

以降、停滞感を感じないために”自分の中のあるべき姿”に向かってどうやったら進んでいけるのだろう?とお悩み相談になりました。
任された仕事を着実に自分のものにして、また次の新しい仕事を任せてもらうループを作ると、停滞感を感じている暇などないのでは無いか、という仮説を鈴木は持ちました。
津崎さんは”あるべき姿”に向かうために自分に定期リマインダをかけたり、付箋を貼ったり工夫はしているけど、「すぐ脳内から消去されてしまう」というのを悩んでいました。機械がやる自動リマインダは無視されがちですね。
津崎さんから"鈴木へ対して"自動定期リマインダをかけることで鈴木が人力チェックと人力リマインダをすることになりました。

こういう話をする機会大事ですね。

4年目

鈴木(入社3年3ヶ月)

セルフインタビューです。私が続けている理由ってなんでしょう?

  • スキル面ではまだやれることがあると思っている
    • リーダー業務やPM業務をやってみているが、まだ完全にうまくできるようになったとは思っていない。また別の会社に行って0からドメイン知識を得て学んでいくのだと効率が悪い
    • 設計のスキルは、自分が考えた設計が長期保守に耐えられるかという視点で同じコードを保守し続けた方がスキルが上がると思っている。時間によるフィードバックを受け取りたい
    • 弊社で身につけられないスキルは、数百万単位のアクセスあるような高トラフィック環境における実務だと思っているが、それは今は自分が必要としていない。また、インフラについては既に前職である程度やったので必要ない。 
  • 金銭面では、SOを持っていて、給料の高い他社に転職するよりまだ残ったほうが期待値が高いと思っている

仮説との対応でいうと、求められる役割が増えた。「マネージメントなんてやりたくないよ」が別に問題になっていないパターンですね。

終わりに

なかなか面白いヒアリング結果でした。

入社から間も無いエンジニアに対しては、入社でのフィルタや期待値調整がうまくいっており、ミスマッチが少ないのが良いポイントかと思いました。面接した人のうち内定までの倍率が10倍を超える(※ぼかします。許可が取れたら書き換えます。)と言われている弊社エンジニア採用はうまくいっているようです。

入社年度にかかわらず、弊社のエンジニアは変化に強いというより「変化が無いと死んじゃう」泳ぎ続けるタイプが多いかもしれないなと感じました。
それぞれが活躍できるタスクを割り振りつつ、一段難しいタスクも捌けるように成長してもらう。そういう職場作りが肝要ですね。

インタビュー見て「同じような志向を持っているなあ」と思ったそこのあなた。多分弊社とマッチしていると思うのでぜひカジュアル面談からいかがでしょうか。CTOでもいいですし、他のメンバーとカジュアル面談したいと指名してもらっても良いかと思います。

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おまけ: 入社理由については以下の記事にまとまっています。ぜひ合わせてご覧ください。

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