【入社エントリ】スタートアップとM&Aと私。

結論、この記事を3行で言うと。

  • 私徳本はExit戦略がないまま起業して、失敗した。
  • その後別会社でPMI、これまた失敗。
  • 「どんな終わりを迎えたいのか」は何を始めるにしても大事。

挨拶と駄文

こんにちは。M&Aクラウドでプロダクトマネージャをしております、とくちゃん(@PdMtokuchan)と申します。このブログを見てくださってる熱烈なM&Aクラウドマニアの方にとっては周知のことかと存じますが、M&Aクラウドは「テクノロジーの力でM&A流通革命を」をミッションに、M&Aのマッチングプラットフォームを運営している会社です。手前味噌ながら当サービスも順調に成長を続け、昨年には10億円の資金調達も完了し「今グイグイきてますね」「バキバキっすね」「コッカラッス」と方々からご声援を賜っておりまして、大変誇らしい気持ちと「俺まだ何もしてないんだけどな」という後ろめたさの間で日々奮闘しております。

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そんなM&Aクラウドで私が普段やっていることは、非常に大雑把にいうと「解くべき課題は何かを明らかにするお仕事」でして、いわゆるユーザインタビューを実施したり、ビジネスサイドのメンバーと共にオペレーションを回したりしながら「あれからぼくたちは、何かを解決できたかなあ...」と頭を抱えながら「解くべき課題は何か」ずっと考えております。実はM&Aという世界は、レガシーかつ非常にブラックボックスな部分が多く、まだまだ課題がたくさん存在しています。そしてそれらの多くは、未だ解決の糸口が見つかっていない混沌とした世界なのです...。私も入社して半年が経ちますが、まだ結果を出せていないことに加え、事業ドメインの難解さに頭が追いつかないシーンも多々あり、悪戦苦闘の毎日で、毎晩ガチで泣いてます。

さて、この記事は入社エントリということですが、私がM&Aクラウドに入社したのは2021年8月ですから、入社エントリを書くにはあまりにも遅すぎるのではないかと、そんな声も聞こえてきます。が、私だって自分語りをさせてほしいよと。ちょっとくらい自分の話をしてもいいじゃないですかと、ワガママを許していただきまして、筆を走らせております。開発メンバーのみんな、ブログを書かせてくれてありがとうございます。

先にこの記事のキーワードをお伝えしておくと「Exit戦略の欠如」です。これが、現時点で私が強く感じている問題意識であり、私自身大切にしたいと考えているテーマでもあります。

スタートアップと私

私事ながら今年で齢30を迎えるのですが、就職をして初めて正社員として働き始めたのが28歳からでして、ここ数年で「お金もらって休めるだと!?有給やべえ!」「タイムカード切るってボタン押すことなのか」など、いわゆる会社として当たり前に存在している概念を肌で感じ、プリキュアくらい目をキラキラさせながら仕事をしておりました。それまでは何をしていたかというと、5年も通った大学を5年連続で単位を落とした化学Ⅰに心を折られ退学し、ほぼ未経験にも関わらずフリーランスWebデザイナーを名乗り「なんでも作れます」と大風呂敷を広げながらコーポレートサイトやLPをゴリゴリ作ってなんとかその日暮らしの日銭を稼ぐようなスタイルで生存していました。2015年、23歳のときです。キャッシュフローも一切安定してないので「次の入金まで残高17円、あと1週間どうする?」みたいな日々で、金ないね🤗ってことでバンド友達(当時バンドやってたので)と高円寺の高架下で明け方まで「弾き語りして投げ銭もらうまで帰れまテン」を開催し、泥酔寸前のおっちゃんから1万円投げられるという奇跡を起こすなど、もう今思い返しても大変怪しい奴だったと思います。靴工場に住んでましたし。

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そんな怪しい私を面白がってくれていた大学時代の先輩に誘われる形で一緒に会社を作りました。2017年、25歳の時です。当時はKURASHIRUやDELISH KITCHENなど「動画メディアがやべえ」みたいな流れが出来ていた頃で、同じようなジャンルのメディア同士でもガンガン調達してて、純広告の単価も再生数あたり十数円みたいな、今考えるとかなり過大評価されてた市場だったと思うんですが、とにかく動画の波がやばいんだってことで我々も動画メディアにかけましょうとなり、漠然と市場規模もそこそこありそうなフィットネス・ダイエット市場を狙って上場目指そうぜということでダイエット動画メディアをインスタで立ち上げることになりました。これが1つ目の「Exit戦略の欠如」です。

メディアの方も運良く成長し続けることができ、国内でフォロワー数が最も多いダイエット動画メディアへと育てることができました。その影響もあって、動画メディアを立ち上げたいクライアントのご相談も増え、会社としても少しずつ成長し、ご縁があって初めての資金調達をさせていただく機会もいただき「なんかよくわからんが最近良いこと続いてるし俺たちいけるのでは?」みたいな傲慢な気持ちが生まれてしまったのもこの頃だったと思います。非常に漠然とした戦略として「集客装置が完成すれば、あとは何かを売れば良いだけじゃん」という超絶雑な考えが当時あって、そのシナリオ通りにはきていたのですが、「何かを売る」ということの難しさを全く理解できていなかったこと、そして会社としてどこに向かっていきたいのか明確にできないまま走り続けてしまったことが仇となり、結果として非常に中途半端な形で様々なサービス・商品を生み出し、そして明確な撤退基準もないまま立ち上げたサービスや商品たちはクローズさせ、メディアだけがぽつんと一人残ってしまいした。

「戦略をちゃんと描けてなかったよね」と言ってしまえばそれまでなのですが、もう少し掘り下げて考えると「会社としてどこをゴールにして向かっていくのか」≒Exit戦略を描いていく必要があったのかなと、今にして思うのです。大まかに言えば 1.経営を続ける 2.誰かに譲る 3.廃業するの3パターンがあって、その中でも上場するのか非上場のまま続けるのか、社員を後継者にするのか他社に買ってもらうのか死ぬまで経営者を続けたいのか、etc...。会社のゴールひとつとっても様々な形があるはずです。そのゴールから逆算して、どの市場に張ってどの上場企業をベンチマークし、どこを競合優位性として戦っていくのかなど、一つずつ決めていくべきでしたが、当時の私たちは漠然と「動画がキテる」とか「そこそこ市場規模が大きい」みたいなふわっとした理由で事業ドメインを決めてしまい、そこに全振りしてしまった。不幸なことにフォロワー数などメディアに係る短期的なKPIは大きく成長していていたことも、後戻りできなかった大きな要因だと感じています。Exitを考えるということは長期でものごと考えることだと言うことです。これが私にとっての初めてのスタートアップであり、大きな失敗でした。

M&Aと私

その会社では前述の通り多くの失敗を経て、私と共同創業者の方との間で「目指す方向性違ってきちゃいましたね」という話し合いをして、私は退職して一般企業に就職することにしました。今でもそうですがあらゆる部分でビジネスマンとしてのスキルや経験が乏しすぎるなという実感があったので、色々な経験してる人と働いてみたいなということで初の転職活動です。何処の馬の骨かもわからない私をご縁があって拾ってくださったゲーム開発会社がありまして、そこで1年ほどお世話になりました。

そこでは「新規事業をやるぞ!」ということでディレクター的な動きをしていたのですが、前職の共同創業者の方から「動画メディアを売りたい」という話を聞いていたのでゲーム会社の上長に「買ってみます?」とフワッと話を持っていったところ、会社としてライブ配信や動画に注力していたということも相まって事業買収へと進んでしまいました。これが2つ目の「Exit戦略の欠如」です。

当時、私の中でダイエット動画メディアが事業として成り立つ正解の一つは物販だと考えていました。これは前職でPoCとしてメディアを通してアパレルウェアなどを販売していたのですが、撤退理由が「入金サイクルが遅くて在庫積めないから」というもので、逆説的にキャッシュがあればクリアできる問題だと考えていたからです。当然それだけでうまくいく理由にはなりませんが、お金がない弱小企業にとって超絶ボトルネックであったキャッシュフローが解消される環境であれば、まだやりようがあるのではと思い企画書を持ち込み経営陣にプレゼンしました。が、結論としては「在庫ビジネスを社としては取り組まない」と跳ね返され、すでに経営陣の中で決まっていたある事業内容で進めていくぞということでPMI担当を任されることとなりました。詳細は書けないことも多いので端折りますが、いくつかの理由でプロジェクトは頓挫し、事業として再生することはないままプロジェクトは終了してしまいました。

ひとえに私の力不足に尽きるわけですが、経営陣と事業としてのゴール≒Exit戦略をうまく共有できず、プロジェクトを破綻させてしまいました。もちろん、世の中の起業家・経営者は私よりも数百倍優秀ですから、こんな話は笑われてしまうかもしれませんが、現実にPMIというものは非常に難易度が高く、どの企業も買収後どのようにして既存事業や社員とシナジーを発揮しながら成長させていくかは大きな課題と言われています。小さなプロジェクトではありますが、私自身PMIの失敗を経て、M&Aというものの難しさを強く実感した貴重な体験でした。

私はこれから

こうやって振り返ると、業界的には全くの畑違いからM&Aクラウドへやってきたわけですが、M&Aというものは私にとって大変苦い思い出であり、そして何故だかご縁を感じずにはいられないテーマなわけであります。マクロな話や業界の専門的な話は弊社が運営するメディア「Update M&Aクラウド」にお任せするとして

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私の個人的な想いとしては、すべての起業家や経営者が正しいExit戦略を描き、彼らやステークホルダーがもっとハッピーになる世界になってほしいと強く願っています。起業をするにしても、あるいは企業を買収するにしても、何かを始めたら必ず終わりがあるはずで、きっとそれは私のような一介の社員にとっても同じくらい重要なことだと感じています。「どんな終わりを迎えたいのか」そんなふうに書くと少し大袈裟なようにも聞こえますが、私たちはみんないつか死んでしまうし、今続いてる幸せも永遠ではありません。だからこそ、目の前の小さなタスクから、家族や会社の未来、自分の人生まで「どんな終わりを迎えたいのか」ということを自問自答しながら日々生きていきたい。そんなことを考えながら、私はM&Aクラウドで出来ることを精一杯やり続け、終わりに向かって走り抜けたいと思います。なんだこの入社エントリ。よし、今日もがんばるぞ。

あと、採用も頑張ってます。(唐突)「M&Aクラウドってどんな感じ〜?😇」みたいな軽ノリで雑談するのも大歓迎ですので、wantedly経由でもTwitter経由(@PdMtokuchan)でもコンタクトとっていただければと思います。おしゃべりしましょう〜!

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