テックブログの意義と継続の秘訣

こんにちは。M&AクラウドのEMの鈴木です。
今回は、弊社のテックブログの意義や継続性について再認識する目的で記事を書いてみます。

打ち捨てられるテックブログが多い中で、幸いなことに継続できており、123件の記事が4年半(2019/10 ~ 2023/5)の間で書かれております。概ね2週に1記事投稿されている計算です。
世の中のテックブログには以下のような問題があることが知られています(鈴木主観です)。

  • 意義が分からない問題
  • 執筆辛い問題
  • 継続できない問題
  • クオリティが担保できない問題

このような問題に対してどんなことを考えてテックブログに対して取り組んでいるか書いていきたいと思います。

テックブログの意義とは

開発チームで相談してみたところ、「学びの最大化」が最も重要な意義なのではないか、という意見が出ました。業務でやったことをそのままにするのではなく、振り返って言語化すれば、それが形式知として蓄積されます。仕事の振り返りをすることで個人とチームは成長するものですが、その一つとして記事として文章を書くことは意義があると考えています。実際に仕事を振り返って文章化してみると、理解が甘い点や言語化できないことが多いことに気がつけます(この記事もちゃちゃっと書けると思ったんですけどね。改めて考えてみると難しいです)。

「学び」を最大化するだけであれば、内部向けの資料でも十分ではないか、という議論もありました。弊社ではインフラの設定変更などをするときに「インフラ確認会」をやるのですが、そういった資料作りでも社内の人に伝えるために非常に学びがあるわけです。なぜ外に出す必要があるのか、と問われれば、テックブログの意義は「学びの最大化」を超えた「チーム価値の最大化」なのではないかと思い至りました。
記事執筆で出せる価値は主に 1. 伝達スキルの向上 2. チーム認知拡大(広報) の二つであると考えています。

1. 伝達スキル向上

内部資料であれば、口頭説明も可能なので、内容のみが大事で構成や読みやすさは二の次になってしまうものです。しかし、外に出すとなれば、資料だけで理解しやすい状態になっていなければいけません。そのような過程で培われた構成を考えるスキルや文章自体を読みやすくする伝達スキルは、必ずや仕事の効率性としても帰ってくると考えています。分かりやすい文章が書ければ、それだけ情報の伝達速度も速くなります。

2. チーム認知拡大(技術広報)

外部に発信すれば、副次効果として採用広報にもなります。事実、弊社に入社する方は、入社前にテックブログを読んでくれているケースが多いです。人それぞれで興味がある分野には偏りがありますが、入社可能性のある人に一つでも刺さる記事があれば将来の仲間を増やしやすくなります。多くの記事を外に出していることにより、外に情報が無い会社よりミスマッチを防ぎやすくなっていると理解しています。

個人ブログとの棲み分け

意義に絡んで、「同じように外部発信であるなら、縛りの少ない個人ブログや技術記事投稿サイトへの投稿でいいではないか」という話もよく聞きます。
これについては、上記の認知拡大の文脈では、会社名が表に出やすいテックブログが適していると考えています。加えて、以下のツイートと同じ認識を持っています。

例えば、直近に書かれた記事は「障害が発生したからLarastan導入で未然に防ごう」という趣旨の内容ですが、障害の内容によってはセンシティブな情報になることはあります。会社のテックブログで社内レビューを通って外に情報が出るのは執筆者も安心です。単に「Larastanを導入した」よりも「複数の障害をまとめて再発防止するためにLarastanを導入した」とする方が情報の価値も高くなります。このような情報を表に出して自身の仕事の記録として残しておけるのは、会社だけでなく個人のキャリアにもメリットがあります。
他にも社内ハッカソンに関する記事プロダクト考古学に関する記事は、明らかに会社の中で起こった事象の情報なので、個人に紐づく情報としては出しにくい内容です。

継続とクオリティ担保の仕組み

鈴木の主観で言うと人生で最も大変なことは継続することなのですが、それはテックブログにおいても例外ではありません。クオリティ担保と合わせてこれらをどうやってクリアしているか紹介します。

継続するのを苦労する理由はいくつか考えられます。ChatGPTに聞くと続けられない理由を無数に教えてくれるのですが、一旦以下のものを提示します。

  • アイディア・ネタがない
  • 構成を考えるのが難しい
  • 文章を書くのが難しい
  • 時間の制約
  • トリガーがない

それぞれどのような対策を打っているか書いていきます。

アイディア・ネタがない

我々は真面目に自社サービスを作っているので、より良い技術、より良い仕組みを常に考え続けています。ただ、自分だけでは新しい仕組みが「当たり前」に見えてしまうこともあります。弊社では「全員インフルエンサー」のバリューに則ってメンバー同士でアイディアを出し合う文化があります。

自動Issue作成&Slack通知の仕組みとネタのやり取りのシーン。

ネタのやり取り

CTOから降ってきている例

構成を考えるのが難しい

構成もアイディア同様にチームで相談します。つい最近まで構成のフェーズはチームでやっていなかったので & 構成相談は口頭でやってしまうことが多いのでスクショは少なめ。

構成を相談しているシーン

文章を書くのが難しい

ここは”頑張ってください”フェーズです。構成があるのであれば、情報を集めて文章に落とすだけなので、時間はかかっても出来るところが多いところです。普段プログラムをちゃんと書ける人が明快な自然言語は書けないというのも考えづらいです。

時間の制約 & トリガーがない

記事を書くのが完全ボランティアだったり縛りがなかったりすれば停滞しがちです。弊社ではこの半年間のお試しとして、「全員インフルエンサー」としてほぼ全員の目標に登壇・記事執筆の数の目標を設定しました。目標の中での比率としては10~15%などと低いものですが、期限があり、書く件数がはっきりしているので動きやすいです。お互いに目標を持っているので、時期になると自然と助け合いが発生します。
次の半期(2023/06/01スタート)では少し目標をチューニングしてみました。前の半期では100%達成も150%達成も登壇・記事執筆数にしていたのですが、101%以降は外部的な技術広報成果も得たいということでPV数やいいね数を目標に入れて見ました。前述の通り、情報発信をすること自体が個々人の成長につながるので、100%までは執筆数など行動数を置くこととしました。

終わりに

メンバーの成長と、新鮮な情報を外に出すことによる技術広報を両立する文化である「全員インフルエンサー」のバリューをますます発展させていきたいと思っています。一緒にやっていけそう、と思った人はぜひお声がけください。

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